自動車注文書の書き方と記載項目|新車・中古車の記入例と漏れやすい欄
自動車注文書は、車名や価格だけでなく、走行距離の根拠、修復歴、保証、支払方法、下取車まで書き込む書面です。欄が多いぶん、担当者によって書き方がばらつきやすく、記入漏れがあとでトラブルの種になります。この記事では、JU中販連が公開している「注文書記入の仕方」を手がかりに、新車と中古車の注文書の記載項目と書き方、漏れやすい欄を整理します。
自動車注文書の記載項目一覧
JU中販連のモデル注文書(00-011D号、現金販売・割賦販売・立替払付販売共用)の表面は、おおまかに6つのブロックに分かれています。新車の注文書も、項目の並びは違っても中身はほぼ共通です。
| ブロック | 主な記載項目 | 書く人・タイミング |
|---|---|---|
| 注文者・使用者 | 氏名または名称、住所、電話番号、生年月日、使用の本拠地、所有者名義 | お客様が記入し、担当者が本人確認書類と照合 |
| 車両 | 車名・グレード、型式、初度登録、走行キロ、車台番号、車検有効期限、排気量、車体色、修復歴 | 担当者がプライスボードと車検証から転記 |
| 販売条件 | 車両本体価格、付属品・特別仕様、値引き、定期点検整備の有無、保証の有無と内容 | 担当者 |
| 付帯費用・預り金 | 検査登録手続代行費用、車庫証明手続代行費用、納車費用、自賠責保険料、税金、リサイクル預託金 | 担当者が見積書から転記 |
| 支払 | 支払方法(現金・割賦・立替払)、頭金、下取車充当額、分割回数と支払額 | 担当者が記入し、お客様と確認 |
| 下取車 | 車名、型式、初度登録、走行距離、車台番号、所有者名、下取価格、残債 | 担当者が査定結果と車検証から記入 |
自動車注文書に書く項目
自動車注文書には、注文者と使用者の情報、車両の特定情報、販売条件、付帯費用と預り金、支払方法、下取車の6ブロックを記入します。JU中販連のモデル注文書(00-011D号)では、車両欄に車名・グレード、型式、初度登録、走行キロ、車台番号、車検有効期限、修復歴の有無が並び、金額欄は車両価格の小計、代行費用、自賠責保険と自動車税の未経過相当額、税金や法定費用の預り金に分けて合計する作りです。新車の注文書も項目の並びは違いますが、車両特定、金額の区分、支払方法を書く点は同じです。
中古車注文書の書き方:車両情報と走行距離の欄
中古車は一台ごとに状態が違う「特定物」なので、JU中販連は車両の個体識別と品質表示を漏れなく書くよう求めています。記入の仕方の資料で示されている要点は次のとおりです。
走行キロの書き方
販売時の走行キロを書きます。距離に疑問がある場合は計器の表示距離を書き、kmの左に「?」マークを付け、かっこ内に推定できる根拠があれば推定距離を書きます。根拠がなければ「推定不明」、走行距離計が改ざんされている場合は「改ざんされている旨」を記入します。メーター交換歴のある車で表示距離だけを書くと、あとで説明の食い違いが起きやすい欄です。
修復歴と定期点検整備の欄
修復歴の欄は有・無で記入し、公正競争規約に定める部位の修正や交換の履歴がある場合は、車両状態説明書をお客様に渡します。定期点検整備の欄では、実施して納車するのか、実施しないのかを選びます。実施しない車にオプションとして点検整備を付ける場合は、その整備費用を価格欄に書きます。
保証の欄
保証付きの場合は「部分保証」などの保証内容を書き、商談のときに詳しく説明して、引渡し時に保証書を必ず渡します。プライスボードに書いていた保証とずれがないかを、ここで照らし合わせます。展示中に表示していた事項を注文書に書く、という扱いはJUの記入例にも示されています。
中古車注文書の走行距離欄の書き方
中古車の自動車注文書では、販売時の走行キロを記入し、距離に疑問があれば計器の表示距離の左に「?」マークを付けます。JU中販連の「注文書記入の仕方」によると、推定できる根拠があればかっこ内に推定距離、根拠がなければ「推定不明」、走行距離計が改ざんされていれば「改ざんされている旨」を書きます。修復歴がある場合は車両状態説明書を渡し、保証付きなら部分保証などの内容を書いて引渡し時に保証書を渡します。どれもプライスボードの表示と同じ内容にそろえることが前提で、展示時に表示していた事項を注文書へ書き写す流れです。
新車注文書の書き方:付属品・登録区分・納車の欄
新車の注文書で中古車と違うのは、車両がまだ手元にない点です。車台番号は登録の段階で決まることが多く、注文時はメーカー、車名、グレード、型式、車体色、付属品で車を特定します。
- 付属品:メーカーオプションと販売店オプションを分け、品名ごとに金額を書きます。JUの様式では付属品明細を12行まで書けます
- リサイクル料金:新車の場合はリサイクル料金を記入します。シュレッダーダスト、エアバッグ類、フロン類、情報管理料金、資金管理料金の内訳がある様式もあります
- 登録区分:JUの様式では新規、書類移転、書類変更、持込移転、持込変更、抹消から選びます。持込の場合は運輸支局への持込費用がかかることを約款でも定めています
- 納車予定日と納車場所:来店納車か指定場所への納車かを選びます。指定場所なら納車費用の欄と合わせて確認します
- 契約成立の時期:自販連の注文書標準約款では、現金購入なら登録日、改造・架装・修理の着手日、引渡日などのうち早い日に成立します
契約がいつ成立するかの考え方は自動車売買契約書と注文書の違いでまとめています。新車は発注から登録まで日数が空くため、その間の取り消しの扱いをお客様に説明しておくと、あとで揉めにくくなります。
新車注文書で中古車と違う記載
新車の自動車注文書は、注文の時点で車台番号が決まっていないことが多いため、メーカー、車名、グレード、型式、車体色と付属品で車両を特定します。付属品はメーカーオプションと販売店オプションを分けて品名ごとに金額を書き、リサイクル料金は新車の場合に記入します。登録区分、納車予定日、納車場所も欄があり、指定場所への納車なら納車費用と合わせて確認します。自販連の注文書標準約款では、現金購入の契約は登録日、改造や架装の着手日、引渡日などのうち早い日に成立するため、発注から登録までの期間の取り消しの扱いも説明しておきます。
自動車注文書の金額欄:車両価格・付帯費用・預り法定費用
金額欄は、JUの様式では記号で計算の流れが示されています。車両本体価格(A)に付属品や特別仕様、値引きを足し引きして小計(F)を出し、代行費用(G)、相当額(H)、預り金(J)などを加えて現金価格総額(M)とする作りです。欄の意味を取り違えると、合計は合っていても内訳が説明できなくなります。
| 欄 | 書く内容 | 注意すること |
|---|---|---|
| 代行費用 | 検査登録手続代行費用、車庫証明手続代行費用、納車費用、下取車諸手続代行費用など | お客様自身でも手続きできることを説明し、依頼を受けると確認してから記入 |
| 相当額 | 車検残のある中古車の自賠責保険料と自動車税の未経過相当額、リサイクル預託金相当額 | 前の使用者から引き継ぐ性格のものだと説明する |
| 預り金(税金) | 自動車重量税、自動車税(新規登録時の月割分など) | 税務当局等が発行する領収書を必ずお客様に渡す |
| 預り金(法定費用) | 検査登録手続、車庫証明手続の法定費用 | 法定費用は預り金であると説明する |
| リサイクル預託金 | 新車のリサイクル料金 | 資金管理料金の扱いも確認 |
JUの2023年10月版の様式には、税金の欄に環境性能割の行があります。環境性能割は2026年3月31日で廃止され、JU中販連は新車・中古車を問わず令和8年4月1日以降に登録・届出される車両が対象だと案内しています。4月以降の登録分はこの行を使わず空欄にしてください。また、令和8年4月1日から「自動車税種別割」は「自動車税」に名称が変わっています。
見積書の段階での諸費用の分け方は中古車見積書の作り方と諸費用の内訳で説明しています。注文書の金額欄は見積書と同じ区分で書くと、転記の確認が楽になります。
注文書の金額欄の区分
自動車注文書の金額欄は、車両価格の小計、代行費用、相当額、預り金に分けて書きます。JU中販連の記入例では、代行費用はお客様自身でも手続きできることを説明したうえで依頼を受けて記入し、車検残のある中古車の自賠責保険料と自動車税の未経過分は前の使用者から引き継ぐ性格のものと説明します。税金と法定費用は預り金で、税務当局等の領収書をお客様に渡します。2023年10月版の様式にある環境性能割の行は、2026年3月31日の廃止により、4月1日以降に登録する車では使いません。
自動車注文書で記載漏れが起きやすい欄
欄が多い書面ほど、空欄のまま渡してしまう欄が出ます。JUの記入例と約款から、漏れるとあとで困る欄を挙げます。
- クレジット承諾前の作業依頼:信販会社の承諾前に登録や修理、架装を「依頼します・依頼しません」のどちらにするか。承諾が出なかった場合の実費負担につながります
- 下取車の所有権解除:下取車の所有権解除手続を頼まれた場合だけ、「下取車諸手続代行費用」と空欄に書きます。頼まれていないのに書くと不当な請求に見えます
- 下取車のリサイクル預託金相当額:下取車側にも空欄があり、ここに書きます。注文書全体の預託金相当額の合計は印紙の判断にも関わります
- インボイス関係:販売時の請求書を兼ねる場合は税率、課税対象額、消費税額を書き、販売店の登録番号を記入します。下取時のインボイスとする場合は、注文者側の登録番号欄を使います
- NOx排出基準:自動車NOx法に基づく排出基準に適合している場合は「適合」、していない場合は「非適合」に丸を付けます
- 納車予定日と納車場所:約款では表記の引渡し期限内に引き渡すとされているため、空欄だと期限の争いになります
メンテナンスパックやボディーコーティング、用品の取付けなどを付けた場合は、その合計金額が1万円以上だと印紙税の請負契約書として課税文書になる、とJUの記入例に注記があります。金額欄だけでなく印紙の要否も同時に確認する欄です。扱いは注文書の収入印紙で詳しく書いています。
記載漏れが起きやすい欄
自動車注文書で記載漏れが起きやすいのは、クレジット承諾前に登録や架装を依頼するかの選択欄、下取車の所有権解除の代行費用、下取車のリサイクル預託金相当額、インボイスの登録番号、納車予定日の5つです。JU中販連の記入例では、下取車の所有権解除を頼まれた場合だけ「下取車諸手続代行費用」と書くこと、販売時のインボイスとするなら税率と消費税額、販売店の登録番号を書くことが示されています。コーティングや取付けなど請負にあたる項目が合計1万円以上なら印紙税の課税文書になる注記もあり、金額と印紙は同時に確認します。
記入例の考え方と社内の記入ルールづくり
記入例を作るときは、架空のお客様を1人決めて全欄を埋めた見本を1枚用意し、事務所に置いておくのが手軽です。そのうえで、店ごとに迷いやすい書き方を短いルールにして見本の余白に書いておくと、担当者が替わっても書き方がそろいます。
| 迷いやすい欄 | 店内ルールの例 |
|---|---|
| 走行キロ | 端数まで車検証の記載どおりに書く。推定距離を書くときは根拠の書類名を備考に書く |
| 車両価格と値引き | プライスボードの価格を本体価格に書き、値引きは値引き欄に分けて書く |
| 代行費用 | お客様が自分で手続きするか確認した日付を控えに書く |
| 保証 | 保証書の番号を備考に書き、控えにも同じ番号を残す |
| 下取車 | 残債がある場合は信販会社名を書き、所有権解除の依頼の有無を確認する |
手書きで困るのは、見積書から注文書への転記で数字を写し間違えることと、計算のし直しです。日本カーネットの車両販売の注文書(3枚複写)は1回の記入でお客様控え、店舗保管用、登録・名義変更用の3部ができ、転記の回数そのものを減らせます。帳票の購入者に無料で付く車両販売システムの機能制限版では、メーカー、車種、グレードを検索して見積と契約書を作り、リサイクル料金や重量税を取り込めます。まずは迷いやすい数件の契約だけシステムで作ってみる、という使い方でも十分です。
注文書の記入例を社内で作るには
自動車注文書の記入例は、架空のお客様を1人決めて全欄を埋めた見本を1枚作り、迷いやすい欄の店内ルールを余白に書き添えると使いやすくなります。ルールにしておきたいのは、走行キロの書き方と推定の根拠、本体価格と値引きの分け方、代行費用を依頼された日付、保証書の番号、下取車の残債と所有権解除の有無です。手書きの転記ミスを減らすには、3枚複写の注文書で控えを1回の記入で作るか、見積と契約書を同じデータから作る車両販売システムを一部の契約で試すのが現実的です。
よくある質問
- 自動車注文書はお客様に書いてもらう欄と、販売店が書く欄がありますか。
- 注文者の氏名や住所、生年月日などはお客様に記入してもらい、本人確認書類と照合します。車両情報、金額、支払条件は担当者が書き、お客様と一緒に確認するのが一般的です。
- 新車注文書と中古車注文書で、用紙を分ける必要はありますか。
- JUのモデル注文書は中古車向けで、走行距離や修復歴、定期点検整備の欄があります。新車を扱う場合は、自販連の標準約款に沿った書式を使うのが一般的です。両方を扱う店では、取り違えないよう保管場所を分けておくと安心です。
- 環境性能割の欄が残っている注文書は、そのまま使えますか。
- 環境性能割は2026年3月31日で廃止されています。令和8年4月1日以降に登録・届出する車ではこの欄に金額を書かず、空欄にしてください。ほかの欄はそのまま使えます。
- 走行距離がはっきりしない車は、注文書にどう書けばよいですか。
- JU中販連の記入例では、計器の表示距離の左に「?」マークを付け、根拠があれば推定距離、なければ「推定不明」と書きます。改ざんがあれば、その旨を記入します。
- 注文書をシステムで作るなら、車販ソフトと自動車整備システムのどちらがよいですか。
- 車の販売が中心なら車両販売システム(車販ソフト)、整備も行う店なら整備と販売を同じ顧客情報で扱える自動車整備システムが向いています。選ぶときは、JUモデル注文書に沿った書式を出力できるか、リサイクル料金や重量税を取り込めるかを確かめてください。日本カーネットでは整備と車両販売を1つで扱える整備システム・整備ソフト DREAM POWERも扱っています。
出典・参考資料
- 一般社団法人 日本中古自動車販売協会連合会「注文書記入の仕方」(JUモデル注文書 00-011D号)
https://www.jucda.or.jp/contract-documents/ju-model/order-sheet(00-011D)guide.pdf - 一般社団法人 日本中古自動車販売協会連合会「JUモデル注文書 特約事項(00-011D号)」
https://www.jucda.or.jp/contract-documents/ju-model/covenants(00-011D).pdf - 一般社団法人 日本中古自動車販売協会連合会「契約|中古車購入ノウハウ」
https://www.jucda.or.jp/soudan/know-how/07.html - 一般社団法人 日本中古自動車販売協会連合会「自動車税環境性能割の廃止について」
https://www.jucda.or.jp/tax/kankyouseinouwari/haishi/ - 一般社団法人 自動車公正取引協議会「契約の成立時期(新車に関するご相談)」
https://www.aftc.or.jp/contents/am/shohisha/faq/shinsya/n_2.html - 東京都主税局「自動車税種別割の名称が変更されました。」
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/automobiles/shubetsu/name-change
記載内容は2026年10月6日時点で公表資料を確認したものです。税務・法令の個別の判断は、税理士・行政書士または所管官庁にご確認ください。
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