自動車注文書・売買契約書の収入印紙|要る場合と要らない場合を国税庁資料で確認
「車の注文書に収入印紙は要るのか」は、販売店の事務でよく出る疑問です。国税庁の質疑応答事例では、物品の売買契約は原則として印紙税のかからない不課税文書とされています。ただし、注文書にコーティングや用品の取付けなどの請負、リサイクル預託金相当額を書き込むと、課税文書に変わる場合があります。この記事では、国税庁の資料とJU中販連の記入例をもとに、印紙が要る場合と要らない場合を分けて説明します。
自動車注文書・売買契約書に収入印紙は必要か
国税庁の質疑応答事例「請負と売買の判断基準」は、物品の売買契約について「継続する売買契約で第7号文書になるものを除き、不課税文書になります」と回答しています。単発の売買取引で目的物の種類などを定めた契約書も、表のなかで「不課税」とされています。車は物品(動産)なので、車そのものの売買だけを書いた注文書や売買契約書には、原則として印紙は要りません。
印紙税額の一覧表で、譲渡の契約書が課税されるのは第1号文書の「不動産、鉱業権、無体財産権、船舶もしくは航空機または営業の譲渡に関する契約書」などで、自動車はここに含まれていません。国税庁の別の事例でも、カタログ商品の販売で作る「注文請書」について、表題が請書でも内容が物品の売買なら第2号文書(請負に関する契約書)には当たらない、とされています。
一方で、自動車の注文書には車両代金のほかにいろいろな金額が並びます。そのなかに課税事項が含まれると、文書全体の扱いが変わります。ここが落とし穴です。販売店で問題になりやすいのは、請負にあたる項目と、リサイクル預託金相当額の2つです。順に見ていきます。
車の売買契約書に印紙が要らない理由
自動車の売買だけを内容とする注文書や売買契約書は、原則として印紙税のかからない不課税文書です。国税庁の質疑応答事例「請負と売買の判断基準」は、物品の売買契約は継続する売買で第7号文書になるものを除き不課税文書になる、と回答しています。印紙税で譲渡の契約書が課税されるのは、第1号文書の不動産や船舶、航空機、営業の譲渡などで、自動車は含まれません。ただし注文書に請負にあたる作業やリサイクル預託金相当額を書くと、その部分が第2号文書や第15号文書に当たり、印紙が必要になる場合があります。
印紙税の課税文書と自動車注文書の関係(第2号・第7号・第15号・第17号)
自動車の販売で関係しそうな課税文書を、国税庁の印紙税額一覧表から抜き出すと次のとおりです。金額は記載された金額に応じた税額で、ここでは販売店でよく出る範囲だけを載せています。
| 号 | 文書の種類 | 販売店で当たりうる例 | 税額(主な範囲) |
|---|---|---|---|
| 第2号 | 請負に関する契約書 | 注文書にコーティングや取付け作業、メンテナンスパックなどを書いた場合 | 1万円未満は非課税、1万円以上100万円以下200円、100万円超200万円以下400円、200万円超300万円以下1,000円、300万円超500万円以下2,000円、記載なし200円 |
| 第7号 | 継続的取引の基本となる契約書 | 業者どうしで継続する売買の基本条件を定めた契約書 | 4,000円(契約期間3か月以内で更新の定めのないものは除く) |
| 第15号 | 債権譲渡または債務引受けに関する契約書 | 注文書にリサイクル預託金相当額を書いた場合(JUの記入例) | 1万円未満は非課税、1万円以上200円、記載なし200円 |
| 第17号 | 金銭または有価証券の受取書 | 車両代金などの領収書 | 売上代金は5万円未満非課税、5万円以上100万円以下200円、100万円超200万円以下400円、200万円超300万円以下600円、300万円超500万円以下1,000円 |
第2号文書の注にあるとおり、第2号文書と第3号から第17号の文書の両方に当たり第2号に所属が決まるものは、記載された契約金額が1万円未満でも非課税にはなりません。また、消費税額等が区分して書かれている場合や、税込価格と税抜価格の両方が書かれている場合は、第1号、第2号、第17号の文書について、消費税額等を記載金額に含めない扱いがあります。
自動車販売で関係する印紙税の号
自動車販売の書類で印紙税が問題になるのは、主に第2号、第7号、第15号、第17号の4つです。第2号は請負に関する契約書で、記載金額1万円以上100万円以下なら200円、100万円超200万円以下なら400円です。第7号は業者間で継続する売買の基本契約書で4,000円、第15号は債権譲渡に関する契約書で1万円以上なら200円です。第17号は領収書などの受取書で、売上代金なら5万円未満は非課税、5万円以上100万円以下は200円です。消費税額等を区分して記載すれば、第1号、第2号、第17号では消費税額等を記載金額に含めません。
請負を含む注文書の印紙:コーティング・取付け・架装
国税庁は、請負か売買かの判断を「仕事の完成に重きをおいているか、物の所有権移転に重きをおいているか」で行うとしています。判断が難しい場合の基準も示されていて、製作者の材料を用いて注文者の設計や指示した規格に従い車両などを製作するもの、修理や加工を内容とするものは請負に当たる例として挙がっています。反対に、取付けが簡単で特別の技術を要しないもの、あらかじめ規格を統一した物品をカタログで注文を受けて製作するものは売買の例です。
JU中販連の「注文書記入の仕方」には、付属品明細の欄について、メンテナンスパックやボディーコーティング、○○取付などを記載し、その合計金額が1万円以上の場合は印紙税法の請負契約書として課税文書になるため印紙の貼付が必要、と注記されています。注文書の金額が車両代金だけなら不課税でも、コーティングを1件付けただけで第2号文書になりうるということです。
- 車両代金だけの注文書:不課税文書(印紙は不要)
- コーティングやメンテナンスパックなどの請負項目が合計1万円以上:第2号文書(請負の金額に応じた税額)
- 架装や改造を注文に応じて行う:請負に当たるかを国税庁の基準で確認
- マットやバイザーを付けるだけなど、取付けが簡単なもの:売買の例に近い
コーティングを付けた注文書と第2号文書
自動車注文書にボディーコーティングやメンテナンスパック、用品の取付けなど請負にあたる項目を書き、その合計が1万円以上になると、印紙税の第2号文書(請負に関する契約書)として印紙が必要になります。JU中販連の「注文書記入の仕方」にこの注記があり、国税庁も修理や加工、注文者の指示に従った製作を請負の例として挙げています。第2号文書の税額は請負の記載金額で決まり、1万円以上100万円以下なら200円です。取付けが簡単で特別の技術を要しないものは売買の例とされているため、項目ごとに国税庁の基準で確かめます。
リサイクル預託金相当額と第15号文書(債権譲渡)
中古車の売買では、前の所有者が預託したリサイクル料金を、次の所有者が引き継ぎます。環境省の自動車リサイクル法のよくある質問では、預託済みの中古車を売るときは次の所有者にリサイクル券を引き渡し、車両部分の代金のほかリサイクル料金(資金管理料金を除く)についても受領する、と説明しています。
JU中販連の記入例は、この「リサイクル預託金相当額」について、注文書に記載されている複数のリサイクル預託金相当額の合計が1万円以上の場合は印紙税法の債権譲渡契約書の課税文書となるため印紙の貼付が必要、と注記しています。販売車両と下取車の両方に預託金相当額の欄があり、合計で判断する点に注意が要ります。同じ記入例には「リサイクル預託金相当額」は非課税項目、という消費税の扱いも書かれています。
さらに、請負(第2号)と債権譲渡(第15号)のそれぞれに1万円以上(100万円以下)の記載がある場合は、注文書に貼る印紙は第2号文書の税額になる、とも注記されています。コーティング付きの中古車を、預託金相当額を書いた注文書で売るときは、このケースに当たります。貼る額は第2号の税額で、第15号の分を上乗せするわけではありません。
リサイクル預託金相当額を書いた注文書の印紙
中古車の注文書にリサイクル預託金相当額を記載し、その合計が1万円以上になると、印紙税の第15号文書(債権譲渡に関する契約書)として200円の印紙が必要になります。JU中販連の「注文書記入の仕方」にこの注記があり、販売車両と下取車の預託金相当額の合計で判断するとしています。環境省も、預託済みの中古車を売るときは車両部分の代金とは別に、資金管理料金を除くリサイクル料金を受け取ると説明しています。請負の項目も1万円以上ある注文書は、第2号文書の税額で印紙を貼ります。
控え・複写式・電子の注文書と印紙
複写式の注文書で控えを何部も作る場合、どれに印紙を貼るのかも迷うところです。答えは署名の入り方で決まります。国税庁は、写し、副本、謄本と書かれた文書でも、契約の成立を証明する目的で作られたものは課税対象になると説明しています。具体的には、契約当事者の双方または文書の所持者以外の一方の署名か押印があるもの、正本と相違ないことなどの証明があるものです。
反対に、自分だけの印鑑を押して手元に置く文書や、正本を複写機でコピーしただけで署名押印や証明のないものは課税対象になりません。ファックスや電子メールで送り、送付先で出力した文書も写しと同様で、課税対象にならないとされています。3枚複写の注文書を課税文書として使うなら、お客様控えと店舗保管用のどちらに相手方の署名や押印が入るかで、印紙の要る部数が変わります。
注文書という表題そのものについても国税庁の整理があります。申込書や注文書は通常は課税対象になりませんが、約款に基づく申込みで自動的に契約が成立するもの、見積書などに基づく申込みである旨が書かれたもの、契約当事者双方の署名または押印があるものは、契約書として扱われます。販売店の印を押してお客様に渡す注文書は、3つめに当たる場合があります。
複写式の注文書で印紙が要る部数
複写式の自動車注文書が課税文書に当たる場合、印紙が要るかどうかは各部に相手方の署名や押印があるかで決まります。国税庁は、写しや副本と表示した文書でも、契約当事者の双方または所持者以外の一方の署名押印があるもの、正本と相違ない旨の証明があるものは課税対象としています。自分の印だけを押して手元に置く控えや、署名押印のない単なるコピー、ファックスや電子メールで送って相手先で出力した文書は課税対象になりません。日本カーネットの3枚複写注文書なら、お客様控えと店舗保管用のそれぞれについて確認します。
領収書の収入印紙(第17号文書)と消費税の区分記載
注文書とは別に、代金を受け取ったときの領収書は第17号文書「金銭または有価証券の受取書」に当たります。国税庁は、領収証やレシートのほか、請求書や納品書に「代済」「相済」と書いたものも受取書に当たると説明しています。車両代金は資産の譲渡の対価なので売上代金に当たり、5万円以上の領収書には金額に応じた印紙が要ります。
| 領収書の書き方の例 | 記載金額の考え方 |
|---|---|
| 税抜金額と消費税額等を分けて書く | 消費税額等は記載金額に含めない(国税庁No.7124) |
| 税込価格と税抜価格の両方を書く | 税抜価格が記載金額になる |
| 「税込」とだけ書く | 税込金額がそのまま記載金額になる |
| 売上代金とそれ以外の金額を分けて書く | 売上代金の金額だけが記載金額。ただし5万円未満かどうかは合計額で判断 |
なお、営業に関しない受取書は非課税です。国税庁は、株式会社などの営利法人や個人の商人の行為は営業になり、商人以外の個人の行為は営業に当たらないとしています。個人間で車を売った個人が書く領収書と、販売店が書く領収書とでは扱いが違うということです。販売店の書類全体の流れは自動車注文書の書き方と記載項目と中古車見積書の作り方もあわせてご覧ください。
車両代金の領収書と第17号文書
自動車の販売代金の領収書は印紙税の第17号文書で、売上代金の受取書として5万円未満は非課税、5万円以上100万円以下は200円、100万円超200万円以下は400円、200万円超300万円以下は600円です。国税庁No.7124によれば、消費税額等を区分して書くか、税込価格と税抜価格の両方を書けば、消費税額等は記載金額に含めません。「税込」とだけ書くと税込金額が記載金額になります。営業に関しない受取書は非課税で、商人以外の個人が書く領収書はこれに当たるため、個人間売買の領収書と販売店の領収書では扱いが異なります。
印紙の判断は、注文書の書き方が決まっていれば毎回同じになります。課税事項を書く欄がはっきりしたJUモデル注文書(特約事項)準拠確認済の注文書を使い、コーティングや預託金相当額を書いたときに印紙を確認する、という流れを店のルールにしておくと迷いが減ります。個別の判断に迷う場合は、所轄の税務署か税理士に確認してください。帳票の購入者が無料で使える車両販売システムの機能制限版でも、JUモデル注文書準拠の注文書を出力し、リサイクル料金を取り込めます。
よくある質問
- 中古車1台を売るだけの注文書に、収入印紙は要りますか。
- 車両の売買だけを書いた注文書は、国税庁の質疑応答事例で不課税文書とされる物品の売買契約に当たり、原則として印紙は要りません。リサイクル預託金相当額やコーティングなどを書く場合は、この記事の第15号、第2号の扱いを確認してください。
- リサイクル預託金相当額は、いくらから印紙が必要ですか。
- JU中販連の記入例では、注文書に記載した複数のリサイクル預託金相当額の合計が1万円以上の場合に、第15号文書として印紙が必要としています。税額は1万円以上で200円です。
- 下取りの契約にも印紙は要りますか。
- 下取りも車という物品の売買なので、それだけなら不課税です。ただし下取車のリサイクル預託金相当額を注文書に書くと、販売車両の預託金相当額と合計して第15号文書に当たるかを判断します。
- 注文書をPDFにしてメールで送れば、印紙は要りませんか。
- 国税庁は、ファックスや電子メールで送信し送付先で出力した文書は写しと同様で課税対象にならないとしています。紙の正本を作って交付する場合は、その正本で判断します。
- 車販ソフトや自動車整備システムで注文書を作る場合、印紙の判断は変わりますか。
- 印刷して署名押印のうえ交付する注文書であれば、手書きでもシステムで作っても判断は同じです。車販ソフトや自動車整備システムを選ぶときは、リサイクル料金や請負項目を欄ごとに分けて印字できるかを確かめると、印紙の要否を見分けやすくなります。整備と車両販売を1つで扱える整備システム・整備ソフト DREAM POWERもあります。
出典・参考資料
- 国税庁 質疑応答事例「請負と売買の判断基準(1)」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/12/01.htm - 国税庁 質疑応答事例「請負と売買の判断基準(2)」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/12/02.htm - 国税庁 質疑応答事例「物品販売の注文請書」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/12/11.htm - 国税庁 タックスアンサーNo.7140「印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7140.htm - 国税庁 タックスアンサーNo.7141「印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7141.htm - 国税庁 タックスアンサーNo.7102「請負に関する契約書」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7102.htm - 国税庁 タックスアンサーNo.7105「金銭又は有価証券の受取書、領収書」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7105.htm - 国税庁 タックスアンサーNo.7118「申込書、注文書、依頼書等と表示された文書の取扱い」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7118.htm - 国税庁 タックスアンサーNo.7120「契約書の写し、副本、謄本等」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7120.htm - 国税庁 タックスアンサーNo.7124「消費税額等が区分記載された契約書等の記載金額」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7124.htm - 一般社団法人 日本中古自動車販売協会連合会「注文書記入の仕方」(JUモデル注文書 00-011D号)
https://www.jucda.or.jp/contract-documents/ju-model/order-sheet(00-011D)guide.pdf - 環境省「知っておきたい自動車リサイクル法(よくある質問)」
https://www.env.go.jp/recycle/car/faq.html
記載内容は2026年10月6日時点で公表資料を確認したものです。税務・法令の個別の判断は、税理士・行政書士または所管官庁にご確認ください。
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